春を味わう特別な一杯:「さくらブルボン」の魅力
新しい企画が始まったり、年度末の締め切りがあったりと、何かと忙しくなりがちな春。そんな会社の机や自宅での休憩時間に、季節の訪れを感じさせてくれる特別なコーヒーはいかがでしょうか。
今回焙煎した豆は、日本の春をイメージして名付けられた「さくらブルボン」。名前の愛らしさだけでなく、その味わいと物語には、日々の忙しさを忘れさせてくれるような魅力が詰まっています。
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焙煎記録:浅煎りの魅力を引き出す
今回は、weroast HOME ROASTERを使って、70gのコーヒー豆を2回焙煎しました。今回は浅めに焙煎してみるとどうなるかという実験的な試みです。
1回目は12分、2回目は13分で焙煎終了。どちらも9分あたりで1ハゼに突入し、2ハゼには入らずに仕上げました。豆の風味は浅煎りのフルーティーな香り、ほどよい酸味が際立つ仕上がりに。焙煎直後は安定していないので、数日置いてエイジングを楽しみながら飲んでいきます。

遥かブラジルから届く春の便り
さくらブルボンの産地は、ブラジルのミナスジェライス州ボンスセッソ地区にあるサンタルジア農園です。標高1,100mの地で育てられている「ブルボンアマレーロ」という品種。これは、一般的なブルボン種の中でも特に完熟すると黄色くなる特性を持つ「完熟ブルボン」です。この珍しい品種が、さくらブルボンの特別な風味の鍵を握っています。
このコーヒー豆は、コーヒーチェリーの果肉を除去してから乾燥させる「ディスカスカード」という精製方法が用いられます。そして乾燥は、天日乾燥と機械乾燥を組み合わせることで、品質を均一に保ちつつ、豆本来の風味を引き出しています。
このさくらブルボンの特徴的な点は、その輸送方法にもあります。完熟したブルボンアマレーロは、品質を保つために20kgずつの箱に詰められ、鮮度が高い状態で日本へと届けられます。遥かブラジルから、日本の春に合わせて届けられるこの一手間が、私たちが新鮮な状態でこの特別なコーヒーを味わえる理由なのです。
名前に込められた春への想い、そしてその味わい
「さくらブルボン」という名前を聞くと、桜の花の香りがするのかと思われるかもしれません。しかし、実際には桜の風味はしません。この名前には、日本の春の象徴である「さくら」のように、華やかで甘く、心地よい春の訪れを感じさせてくれるコーヒーであってほしい、という願いが込められています。
このコーヒーの特徴は、柑橘類を思わせる爽やかで甘い香り。酸味は控えめで優しく、苦味も程よいため、非常に飲みやすい釣り合いの取れた味わいです。コクは中程度で、単調にならず、深みも感じられます。この絶妙な釣り合いが、さくらブルボンを特別な一杯にしています。
推奨される焙煎度は、豆の持つ果実味や華やかさを引き出す「ハイロースト(中煎り)」です。この焙煎度によって、さくらブルボンの持つ個性が最大限に活かされます。
日本の春限定の、特別な存在
さくらブルボンの最大の特徴は、その「季節限定」であることです。日本の春の訪れに合わせて販売されるため、この時期を逃すと次の春まで待たなければなりません。この「今しか味わえない」という特別感が、さくらブルボンをさらに魅力的な存在にしています。
私も期間限定に弱く、この言葉で購入してしまいました。しっかり味わいたいと思います。
日本のコーヒー文化に溶け込む特別な一杯
さくらブルボンは、単なるブラジル産のコーヒーというだけでなく、日本市場向けに特別に選別・開発されたという歴史を持っています。ブラジルのミナスジェライス州で栽培されるブルボン種の中から、特に甘みと香りが際立つ区画が厳選され、「さくら」の持つ華やかさと甘さをイメージして名付けられました。
一般的なブラジル産コーヒーと聞くと、ナッツやチョコレートのような、重厚なコクのある味わいをイメージされる方が多いかもしれません。しかし、さくらブルボンはそれとは一線を画します。赤ワインやベリーのような果実味のある甘み、そしてほのかな花の香りが特徴で、口当たりもなめらかで優しい酸味を持っています。これは、日本のコーヒー愛好家の間で好まれる、澄んだ華やかな味わいに寄り添うように調整されているためと言えるでしょう。
さくらブルボンの推奨される抽出方法は、フレンチプレスやペーパードリップです。これらの方法で丁寧に淹れることで、豆本来の甘みや華やかな香りがより一層際立ち、さくらブルボンの持つ可能性を最大限に引き出すことができます。
一般的なブラジル産コーヒーとの違いを比べてみよう
ここで、さくらブルボンが一般的なブラジル産コーヒーとどのように違うのかをまとめてみましょう。
項目 | さくらブルボン | 一般的なブラジル産コーヒー |
品種 | ブルボン種(アマレロ) | ムンドノーボ種、カトゥアイ種など |
風味 | 果実味豊かで華やか | ナッツやチョコレートのようなコク |
酸味 | 優しく穏やか | 低めでまろやか |
甘み | 強め | 中程度 |
精製方法 | ナチュラルまたはパルプドナチュラル | ナチュラルまたはウォッシュド |
販売形態 | 日本市場向けの季節限定 | 通年販売 |
このように比較すると、さくらブルボンが日本市場向けに特化して開発された、独特のコーヒーであることが分かります。品種、風味、販売形態など、様々な点で一般的なブラジル産コーヒーとは異なる個性を持っています。この違いこそが、さくらブルボンを春に味わうべき特別なコーヒーにしている理由なのです。
春を感じる一杯を、あなたに
ブラジル産さくらブルボンは、単なるコーヒー豆ではありません。遥か遠い異国の地で、日本の春を想いながら育てられ、届けられる、まさに春の便りです。その華やかな香りと優しい甘みは、忙しい日常にホッと一息つかせてくれるだけでなく、日本の美しい春の情景と重なり、心を豊かにしてくれます。
今年の春は、ブラジル産さくらブルボンを淹れて、窓の外の景色を眺めながら、あるいは仕事の合間に、季節の移ろいをゆっくりと感じてみませんか? きっと、いつものコーヒータイムが、より特別で記憶に残る時間になるでしょう。

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